マレーシア・ラブアンでは、銀行から保険、資産運用、信託、取引所、デジタル金融まで、
幅広い金融業をライセンス制で行うことができます。
このページでは、どのようなライセンスがあり、どの業態に向いていて、
取得にどの程度の資本が必要かを一覧で整理しています。
本ページは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定のライセンス取得・投資・金融商品を勧誘するものではありません。
実際の可否および適用される要件は Labuan FSA の審査・判断によります。最新の要件は必ず一次資料および専門家にご確認ください。
01 — CATEGORIES
ライセンスは大きく9つのカテゴリー
Labuan FSA が所管する業務分野は以下のとおりです。
| カテゴリー | 主なライセンス |
|---|---|
| 銀行業 | Labuan Bank / Investment Bank / Islamic Bank (ラブアン銀行/投資銀行/イスラム銀行) |
| 保険業 | Labuan Insurer / Reinsurer / Captive (元受保険/再保険/キャプティブ) |
| 保険関連業 | Insurance Broker / Insurance Manager / Underwriting Manager (保険ブローカー/保険マネージャー/アンダーライティング・マネージャー) |
| 信託業 | Trust Company (FTC) / Managed Trust Company (MTC) / Private Trust Company (PTC) (信託会社/管理型信託会社/プライベート信託会社) |
| 資本市場 | Fund Manager / Securities Licensee (ファンドマネージャー/証券ライセンシー) |
| 金融仲介 | Money Broker / Leasing (マネーブローカー/リース) ※Commodity Trading(コモディティトレーディング)は別枠の承認制度 |
| 決済・トークン | Credit Token / Payment System Operator (クレジットトークン/決済システム運営) |
| 取引所 | Labuan Exchange (取引所) |
| 法人管理 | Company Management (カンパニーマネジメント) |
このほかデジタルバンクについても、デジタル金融サービスの枠組みが整備されています。
02 — OVERVIEW
一覧表:ライセンスと最低払込資本
最低払込資本は MYR(マレーシアリンギット)建てで定められ、損失により毀損されていない状態(unimpaired by losses)
で常時維持することが求められます。なお年次ライセンス料は2026年1月1日から USD建てです。
銀行業
| ライセンス | 最低払込資本 | 追加要件 | 向いている業態 |
|---|---|---|---|
| Labuan Bank and Investment Bank (ラブアン銀行・投資銀行/イスラム銀行を含む) | 1,000万 MYR | Tier1資本比率 4%/総資本比率 8% | プロジェクトファイナンス、ストラクチャード・ファイナンス、貿易金融、トレジャリー |
保険業
| ライセンス | 最低払込資本 | ソルベンシー要件 | 向いている業態 |
|---|---|---|---|
| Labuan General / Life Insurer (元受保険会社・生命/損害) | 750万 MYR | 750万 MYR または前年正味保険料収入の20%のいずれか大きい額 | 保険引受を行う事業者 |
| Labuan Composite and Reinsurer (複合・再保険会社) | 1,000万 MYR | 750万 MYR または(前年正味保険料収入20%+生命保険負債の数理評価額3%)の合計 | 再保険の引受 |
| Rent-a-Captive / Protected Cell Company (レンタキャプティブ/PCC) | 50万 MYR | 50万 MYR または前年正味保険料20% または生命保険負債の数理評価3% のうち最大額 | セル単位で保険機能を貸す形態 |
| Pure / Group & Multi-Owner Captive (ピュアキャプティブ/グループキャプティブ) | 30万 MYR | 30万 MYR または同上 | 自社グループのリスクを自社で引き受ける事業会社 |
上記は子会社(subsidiary)形態の数値です。支店(branch)形態の場合は「払込資本」ではなく
「資産が負債を上回る額(surplus of assets over liabilities)」として同額が求められます。
保険関連業
| ライセンス | 最低払込資本 | 向いている業態 |
|---|---|---|
| Labuan Insurance Broker (保険ブローカー) | 払込資本 30万 MYR または純運転資金 30万 MYR 以上 | オフショア保険の仲介(IFA業務)。財務計画業務(financial planning)も可能(Labuan IBFC の案内による) |
| Insurance Manager / Underwriting Manager (保険マネージャー/アンダーライティング・マネージャー) | 30万 MYR | 保険の管理・引受代行 |
信託業
| ライセンス | 最低払込資本 | 向いている業態 |
|---|---|---|
| Labuan Trust Company (FTC) (ラブアン信託会社) | 15万 MYR | 第三者向けに信託・法人設立・受託サービスを提供 |
| Labuan Managed Trust Company (MTC) (管理型信託会社) | 要件なし | 既存の信託会社の管理下で事業を始める形態 |
| Labuan Private Trust Company (PTC) (プライベート信託会社) | 要件なし | 特定一族の資産のためだけに設立 |
MTC・PTC には最低払込資本の定めがありません。ただし 年次ライセンス料は MTC のほうが高く設定される年度もあり、
「資本が不要=総コストが安い」とは限りません。初期費用ではなく、数年分の総額で比較してください。
資本市場
| ライセンス | 最低払込資本 | 追加要件 | 向いている業態 |
|---|---|---|---|
| Labuan Fund Manager (ファンドマネージャー) | 30万 MYR | 運用資産(AUM)が 1億5,000万 MYR を超える部分について 0.2% の追加資本 | ファンド運用、投資一任 |
| Labuan Securities Licensee (証券ライセンシー/イスラム証券を含む) | 15万 MYR | — | 証券の取扱い・助言 |
金融仲介・法人管理
| ライセンス | 最低払込資本 | 向いている業態 |
|---|---|---|
| Labuan Money Broker (マネーブローカー) | 30万 MYR | 外国為替仲介、FX/CFD ブローカー |
| Labuan Leasing (リース) | 別途定められています (リース事業の設立・運営に関する 個別ガイドラインによる) | 航空機・船舶・設備等のクロスボーダーリース |
| Labuan Company Management (カンパニーマネジメント) | 10万 MYR | ラブアン法人の設立・管理代行 |
クレジットトークン・取引所
| ライセンス | 最低払込資本 | 年次ライセンス料 | 向いている業態 |
|---|---|---|---|
| Labuan Credit Token (クレジットトークン) | ライセンス条件として個別に設定 | 改定料金表に規定あり | トークンを発行し、提示により商品・サービスを利用させる事業 |
| Labuan Exchange (取引所) | ライセンス条件として個別に設定 | 13,000 USD | 金融商品の上場・取引を行う取引所の運営 |
Labuan Credit Token(クレジットトークン)
トークンを発行し、顧客がそれを提示することで商品やサービスを利用できるようにする事業が対象です。
| 区分 | 発行できるトークンの例 |
|---|---|
| 書面・物理媒体 | 小切手、カード、バウチャー、スタンプ、冊子、クーポン、その他の書面 |
| デジタル | 暗号資産 |
暗号資産の発行体が、事業の正当性を対外的に示す目的で取得を検討する選択肢になります。
Labuan Exchange(取引所)
金融商品を上場・取引させる取引所です。従来型の金融商品とデジタル資産の双方を扱えます。
| 区分 | 上場・取引できるもの |
|---|---|
| 従来型の金融商品 | 株式、投資ファンド、債務証券、その他の金融商品 |
| デジタル資産 | デジタル証券の上場、セキュリティトークンの取引、暗号資産の取引 |
いずれの商品も、コンベンショナル型・シャリア適格型のどちらの形態でも組成できます。
審査で問われるのは資本よりも体制です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ITシステム | リスク管理、顧客資産の保護、セキュリティシステムに十分なIT体制 |
| 金融犯罪対策 | マネーロンダリング防止および金融犯罪対策の統制 |
| データ保護 | データ保護と高度なセキュリティアクセス・プロトコル |
Labuan FSA は申請前に事業構想について当局と協議することを推奨しています。
いきなり申請するのではなく、事前協議から入るのが想定された進め方です。
年次ライセンス料は 13,000 USD(2026年1月1日から)。
2025年12月31日以前に設立済みの取引所運営者は、2027年からの支払い開始とされています。
両ライセンスとも、最低払込資本はライセンス条件として個別に付されます。
事業モデルによって求められる水準が変わるため、具体的な要件はお問い合わせください。
03 — REQUIREMENTS
資本以外に共通して求められる条件
資本要件を満たせばライセンスが下りるわけではありません。 実務上は以下が論点になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実体要件(ESR) | ラブアン島内でのフルタイム従業員数と年間支出の下限。2025年9月の改正で「頭数」から適格性(fit and proper)の審査へ厳格化。清掃員等や外部委託人員はカウント対象外 |
| 物理オフィス | ライセンス種別によりラブアン島内の物理オフィスが必須(例:信託会社のFTC) |
| 役員・責任者の適格性 | 取締役・秘書役等に資格要件(弁護士、法学位保有者、会計士協会会員、業界団体のassociate以上、公務経験など) |
| 実務経験 | 一部ライセンスで申請者に3年以上の実務経験を期待する旨が明記(例:信託会社) |
| 年次ライセンス料 | 2026年1月1日から USD建てに改定。既存事業者には2026〜2028年の3段階の経過措置あり |
| コンプライアンス機能 | Compliance Function Guidelines が2026年1月1日施行。既存事業者は2026年7月1日までに遵守が必要(MTCは適用除外) |
| 株式異動の事前承認 | ライセンス法人の株主変更には Labuan FSA の事前承認が必要。閾値は種別により異なる |
ライセンスそのものは譲渡できません。 M&Aの際は株式譲渡(share deal)が基本となります。
信託会社の例では、事業譲渡に Labuan FSA の承認・高等裁判所の確認・公告といった手続きが伴い、
譲受人が既にライセンスを保有していることが前提となります。手続きの詳細はライセンス種別により異なります。
04 — BY BUSINESS TYPE
業態から逆引きする
| やりたいこと | 検討すべきライセンス |
|---|---|
| 自社グループの保険リスクを自前で引き受けたい | Pure Captive (ピュアキャプティブ) 30万 MYR |
| 一族の資産承継の器をつくりたい | Private Trust Company (PTC) (プライベート信託会社) 資本要件なし |
| 第三者に信託・法人設立サービスを提供したい | Trust Company (FTC) (信託会社) 15万 MYR /まずは MTC から |
| ファンドを組成・運用したい | Fund Manager (ファンドマネージャー) 30万 MYR+AUM連動 |
| FX・CFDのブローカー業を行いたい | Money Broker (マネーブローカー) 30万 MYR |
| 航空機・船舶・設備をリースしたい | Leasing (リース) 別ガイドライン |
| ラブアン法人の設立代行を事業にしたい | Company Management (カンパニーマネジメント) 10万 MYR |
| オフショア保険を取り扱いたい(IFA) | Insurance Broker (保険ブローカー) 30万 MYR ※下記の制約を必読 |
| 暗号資産・バウチャー等のトークンを発行したい | Credit Token (クレジットトークン) |
| 証券やトークンの取引所を運営したい | Labuan Exchange (取引所) 年次 13,000 USD |
| 暗号資産の取引所・DEXを運営したい | Digital Financial Services (DFS) (デジタル金融サービス) 事前承認制 ※下記を必読 |
05
ご相談の多い2つの業態
オフショア保険を取り扱いたい場合(IFA)
該当するのは「ラブアン保険ブローカー」ライセンスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最低払込資本 | 30万 MYR(ラブアンの銀行に払込資本または運転資金として保有) |
| 業務範囲 | 保険契約者に代わってラブアン保険を手配。保険会社に代わって再保険を手配 |
| 財務計画業務 | 保険ブローカーは financial planning 業務も行えるとされています(Labuan IBFC の案内による。Guidelines on Insurance Broker の業務範囲には明記されていないため、申請前に確認を推奨) |
| 加入義務 | Labuan International Insurance Association への加入 |
| 親会社の保証 | Labuan FSA への保証状(letter of guarantee)または誓約書の提出 |
| 役員の承認 | 支配者・取締役・主要責任者(PO)は Labuan FSA の事前承認が必要。fit and proper の審査を受ける |
取得までのおおまかな流れ
| # | 段階 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | ラブアン法人の設立 | Labuan Companies Act 1990 に基づくラブアン法人、または外国ラブアン法人であること |
| 2 | 要件の準備 | 資本または運転資金/職業賠償責任保険/事業計画/過去の決算書を揃える |
| 3 | 申請 | Labuan FSA の Business Operations Unit(Legal and Business Management Department)へ提出 |
| 4 | 審査 | 支配者・取締役・主要責任者(Principal Officer)の fit and proper 審査 |
| 5 | ライセンス交付 | 年次ライセンス料を毎年1月15日までに納付 |
| 6 | 運営開始後 | 監査人を選任し、事業年度末から6か月以内に監査済決算を提出 |
準備が必要な書類・要件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 職業賠償責任保険 | 250万 MYR 以上の補償(または同等額の外貨)。事業を行っている間は継続して付保していること |
| 資本 | 払込資本 30万 MYR、または純運転資金 30万 MYR 以上のいずれか一方。運転資金を選ぶ場合はラブアンの銀行口座で維持し、常時下回らないこと |
| 事業計画書 | 最初の3年分を提出 |
| 決算書 | 該当する場合、申請直前3年分の監査済年次決算書 |
| 運営体制 | ラブアンに運営管理オフィスを設置して管理チームが運営する、または免許を持つラブアン保険マネージャーを任命する |
| 業界団体 | Labuan International Insurance Association への加入 |
| 親会社の保証 | Labuan FSA への保証状(letter of guarantee)または誓約書 |
| 年次ライセンス料 | 要確認(下記参照) |
年次ライセンス料は2026年1月1日から USD建てに改定されました。
Labuan FSA の Revised Fees Schedule により、ライセンス料は USD建てで定められています。
Guidelines on Insurance Broker(2019年版)にある 2万 MYR という記載は、この改定前のものです。
Labuan IBFC の案内では 8,000 USD とされていますが、正確な金額は改定後の料金表でご確認ください。
なお改定では、既存事業者向けに 2026年→2027年→2028年の3段階で引き上げる経過措置が設けられています
(例:信託会社 5,000 → 7,500 → 10,000 USD/マネーブローカー・デジタル資産 1,500 → 5,750 → 10,000 USD)。
見落とされやすいのが職業賠償責任保険です。 補償額 250万 MYR は最低払込資本 30万 MYR の8倍以上にあたります。
資本金だけを見て予算を組むと、この保険料が想定外のコストになります。
自社で用意する人材
| 役割 | 要件 |
|---|---|
| Principal Officer(主要責任者) | fit and proper であること。Labuan FSA の審査対象 |
| 取締役(Director) | 同上 |
| 支配者(Person in Control) | 同上 |
役割を担う人の要件
| 役割 | 誰が担えるか |
|---|---|
| レジデントセクレタリー | 信託会社の Trust Officer(または信託会社が全株を保有する法人)。自社では担えません |
| 居住取締役(Resident Director) | ①信託会社の Trust Officer、または②一定の条件を満たす自然人。信託会社である必要はありません |
| 監査人(Auditor) | 外部の監査法人を選任 |
居住取締役は、ご自身が就任できる可能性があります。
Labuan Companies Act 1990 第87条(1)により、すべてのラブアン法人は取締役を1名以上置き、
そのうち少なくとも1名は居住取締役でなければなりません。
同条(2)では、居住取締役になれる者として次の2つが定められています。
①Labuan FSA が承認した信託会社の Trust Officer、または
②18歳以上・完全な法的行為能力・就任の同意があり、制裁リスト等に該当しない自然人
(イスラエル・北朝鮮の国籍者、国連安保理制裁リスト掲載者、同法第90条の欠格者を除く)。
一方、レジデントセクレタリーは信託会社でなければなりません。
こちらは自社で担えないため、ラブアン法人を持つ以上、信託会社との契約は避けられません。
保険ブローカーのガイドラインは「居住取締役または秘書役のうち少なくとも1名が信託会社の Trust Officer であること」を求めています。
セクレタリーが信託会社である以上、この条件は通常すでに満たされています。
なお fit and proper の具体的な判定基準はガイドラインに列挙されておらず、
経歴・実務経験・適格性は Labuan FSA の個別審査によります。
運営開始後に継続する義務
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 顧客への開示 | 販売する保険商品の引受保険会社の名称と所在地を顧客に知らせること |
| 書類の表示 | レターヘッド・書類等に社名とライセンス番号を明記 |
| 事業計画の変更 | Labuan FSA の承認が必要 |
| 年次報告 | 事業年度末から6か月以内に監査済の貸借対照表・損益計算書を提出 |
ここが最重要の制約です。
制約は「マレーシア人と取引できない」ではなく、どのリスクを扱うかで決まります。
| 業務 | 可否 |
|---|---|
| 直接保険の仲介 | マレーシア国内の直接リスク(direct Malaysian risks)を除き、LFSSA免許の有無を問わず任意の保険会社と仲介可 |
| 生命保険の仲介 | 高額純資産のマレーシア人向けに、LFSSA免許の生命保険会社との仲介が可能 |
| 再保険の仲介 | マレーシアリンギット建てで行われるマレーシア国内直接リスクの再保険は仲介可 |
つまりマレーシア人を顧客にできない、という意味ではありません。
高額純資産のマレーシア人への生命保険は明示的に認められています。
できないのは「マレーシア国内の直接リスクを、直接保険として仲介すること」です。
誰が顧客かではなく、どこのリスクをどの形で扱うかが判断の軸になります。
なお、取り扱う商品の性質によっては証券ライセンシー(15万 MYR)の領域に入る場合もあります。
保険商品と投資商品のどちらとして設計されているかで、必要なライセンスが変わります。
暗号資産の取引所・DEXを運営したい場合
デジタル金融サービス(DFS)の枠組みで扱われます。
Labuan FSA が対象としている領域には、デジタルバンキング、インシュアテック、
ロボアドバイザー等のデジタル仲介業、デジタル資産取引所、暗号資産取引プラットフォーム、
ブロックチェーン・トークン、電子決済システムが含まれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手続き | ラブアン法人は、DFS関連業務を開始する前に Labuan FSA の事前承認が必須 |
| 審査の重点 | AML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)と市場行為(market conduct)への適合 |
| 資本要件 | 業務類型ごとの個別ガイドラインおよびライセンス条件で定まります(要照会) |
取得までのおおまかな流れ
保険ブローカーと異なり、先に申請書を出す流れではありません。事前協議から始まります。
| # | 段階 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 事前協議 | 申請前に Labuan FSA と事業構想を協議する。ここで方向性が定まらなければ先に進まない |
| 2 | 業務類型の確定 | 取引所(Labuan Exchange)なのか、クレジットトークンなのか、マネーブローカーなのかを確定させる |
| 3 | ラブアン法人の設立 | Labuan Companies Act 1990 に基づく法人を設立 |
| 4 | 体制の構築 | AML/CFT体制、ITシステム、顧客資産の保護、データ保護の設計 |
| 5 | 申請 | 事業計画とあわせて Labuan FSA へ提出 |
| 6 | 事前承認 | DFS関連業務は開始前に Labuan FSA の承認が必須 |
| 7 | ライセンス条件の受領 | 資本要件を含む個別条件が承認書(conditional approval letter)で示される |
| 8 | 運営開始 | 条件を満たしたうえで業務を開始 |
この順番が重要です。 資本金を用意してから相談するのではなく、事前協議で業務類型を確定させてから体制を組むのが想定された進め方です。
資本要件は一律に決まっているのではなく、承認の過程で事業モデルに応じて個別に示されます。
準備が必要になる体制
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| AML/CFT | 顧客確認(KYC)、取引監視、疑わしい取引の届出の運用設計。審査の中心 |
| 市場行為(market conduct) | 顧客への情報開示、公正な取引執行、苦情処理 |
| ITシステム | リスク管理、顧客資産の保護、セキュリティシステム |
| データ保護 | データ保護方針と高度なアクセス制御 |
| 運営拠点 | ラブアンにおける運営体制と人員 |
どこでつまずくか
最も多いのは、資本金の準備に集中してAML/CFT体制の設計が後回しになるケースです。
Labuan FSA が明示しているとおり審査の重点はAML/CFTと市場行為にあり、
「いくら用意すればよいか」より「誰が顧客確認をどう運用するか」を先に固める必要があります。
体制の設計には、コンプライアンス責任者の確保と取引監視の仕組みが伴います。
これらは法人設立後に慌てて揃えられるものではないため、事前協議の段階で並行して準備を始めるのが現実的です。
「DEX(分散型取引所)だから規制されない」という整理は通用しにくくなっています。
運営主体が存在し、その主体がマレーシアから運営・収益を得ている場合、
当局は運営者として捉えます。完全に無人で動く仕組みであっても、
開発・運用・手数料の受領を担う法人があれば、そこが審査の対象になります。
また、Labuan FSA が明示しているとおり審査の中心は資本ではなくAML/CFT体制です。
「資本金がいくら必要か」より、顧客確認・取引監視・疑わしい取引の届出をどう運用するかを
先に設計しないと、申請段階で止まります。
06 — COMMON MISCONCEPTIONS
よくある誤解
「資本金が安いライセンスほど総コストが安い」とは限りません。
最低払込資本は初期の一項目にすぎず、年次ライセンス料・実体要件(人件費とラブアン島内支出)・
オフィス・コンプライアンス体制が継続的に発生します。管理型信託会社(MTC)のように、
資本要件がない代わりに年次料が高く設定される種別もあります。
「ライセンスを取れば自由に事業ができる」わけでもありません。
各ライセンスには許容される業務範囲が定められており、範囲外の業務は行えません。
Labuan FSA は要件未達の事業者に対して業務制限(Business Restriction)を公表しています。
数字は変わります。 2026年は規制の変わり目で、ライセンス料・実体要件・コンプライアンス要件が
相次いで改定されています。古い情報で設計すると、後から組み直しになります。
07 — NEXT STEP
次のステップ
どのライセンスが適しているかは、事業モデル・顧客の所在地・想定する取引量によって変わります。
また、ライセンスを取らずに実現できる形態もあります。
当社では、ラブアンでの法人設立および信託の組成を扱っています。
ライセンスの要否を含めた初期の整理からご相談いただけます。
08 — SOURCES
出典
※ 本ページは2026年9月時点で確認した内容です。要件は変更される場合があります。
お問い合わせ
取得をお考えのライセンスについて、要件を満たすかどうかの事前診断から、申請書の作成と当局との照会までお引き受けします。
初回のご相談は無料です。オンラインで承っておりますので、日本からでも海外からでもご利用いただけます。
関連するページ:ラブアン法人/ラブアン信託/ラブアン財団/ラブアン就労ビザ/マレーシア移住とビザ
